安藤 広道 教授
日本考古学・博物館学
身近にある考古学資料や物質文化資料を分析対象とし、その成果を大きな歴史学的枠組みのなかに位置付けていくというのが、研究の基本スタンスです。慶應義塾には、三田キャンパス、日吉キャンパスを中心に、先史時代から現代に至る多種多様な資料が存在しており、研究する意義が見いだされたものなら何でも、時代を問わず研究対象にしています。現在は、日吉や三田の近現代、特にアジア太平洋戦争に関わる建造物の調査・研究にエネルギーを注いでいます。こうした研究の成果を軸に、日吉や三田という場に集う、さまざまな立場の人々の歴史的言説を絡み合わせたパブリックヒストリー的活動を展開したいと思っています。
アジア太平洋戦争期の戦争遺跡をつなぐ公共考古学的活動
慶應義塾大学日吉キャンパスには、アジア太平洋戦争末期に構築・使用された連合艦隊司令部の地下壕が残っています。この遺跡を出発点として、沖縄戦で相互につながっていた南九州と沖縄の戦争遺跡に対象を拡げ、そこに各地で戦争や戦争遺跡に関心をお持ちの方々の諸活動の記録や発信を結びつけていく公共考古学的活動を展開しています。今後は、アメリカや台湾、中国とのつながりも模索していく予定です。
これまでの調査・研究、活動の成果
報告書
- 『慶應義塾大学日吉キャンパス一帯の戦争遺跡の研究』(2014年)
- 『慶應義塾大学日吉キャンパス一帯の戦争遺跡の研究Ⅱ』(2020年)
- 『慶應義塾大学日吉キャンパス一帯の戦争遺跡の研究Ⅲ』(2024年)
地図型アーカイブ(株式会社Stroly「Stroly」を使用)
キャンパス内の遺跡の学術調査・記録保存調査、研究室保管資料の整理
2006年以降、三田キャンパス、日吉キャンパス、矢上キャンパスでさまざまな発掘調査を行ってきました。また、研究室に保管されている考古学資料の整理も進めています。
三田キャンパス
- 『会津藩保科(松平)家屋敷跡遺跡-慶應義塾中等部新体育館・プール建設計画に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書-』(2011年)記録保存調査(共和開発株式会社に委託)
- 『三田二丁目町屋跡遺跡-慶應義塾大学三田キャンパス東別館建て替え工事に伴う埋蔵文化財調査報告書-』(2021年)記録保存調査(トキオ文化財株式会社に委託)
日吉キャンパス
- 『日吉台遺跡群蝮谷地区発掘調査報告書-航空本部等地下壕出入口関連遺構の調査-』(2011年)記録保存調査・学術調査(一部、吾妻考古学研究所に委託)
- 『日吉台遺跡群発掘調査報告書-2006~2014年度の調査成果-』(2019年)記録保存調査・学術調査