慶應義塾大学文学部 民族学考古学専攻 山口徹 研究会
卒業論文に向けた実践的な研究指導を軸に据えてます。これまでの卒論タイトルから分かるように、受講生にとって文化研究にかかわる多様なテーマの設定が可能です。ただし,議論のための共通基盤として,フィールドワーク(現実世界の観察と対話),物質文化研究(観察票作成・データベース化),通時的分析を意識しながら、「絡み合い(entanglement)/めぐり合わせ(conjuncture)」の歴史学・歴史人類学を目指してほしいと思ってます。4年生の研究発表に際しては,自らが撮影したフィールド写真や資料画像、地図・グラフを用いたプレゼンテーションが求められます。3年生の受講生には、自らの研究トピックを発見してもらうために、オンラインジャーナル等の中からクオリティーの高い論文(邦文・英文)を探索し、自らがその執筆者になったつもりでプレゼンテーションしてもらいます。
博士論文・修士論文
提出年度 | 氏名 | タイトル |
2015博士 | 下田 健太郎 | 水俣病経験の想起をめぐる歴史人類学―響き合うモノと語りの通時的分析を通して |
2009修士 | 小林 竜太 | サンゴ礁発達の地域差からみた石垣島の遺跡立地 |
2009修士 | 下田 健太郎 | 水俣湾埋立地の景観史ー語られる歴史と物質文化研究の接合を通してー |
2009修士 | ズエバ・ノソバ・イリーナ | 石垣島名蔵地区の完新世環境史と人間居住史の関係解明ー地球科学分析と自然遺物分析を通してー |
2013修士 | 佐山 のの | メキシコ「悪魔」仮面の形態的多様性にみる多配列的関係 : ゲレロ州で収集されたコレクション資料を中心として |
2013修士 | 島崎 達也 | 水資源からみた隆起サンゴ礁島の先史遺跡分布―グアム島北部におけるラッテ期の事例から- |
2016修士 | 臺 浩亮 | モノに読み解く「生きられた」植民地的状況の歴史人類学的研究-博物館に所蔵されるニューアイルランドのマランガン彫像を対象に- |
2019修士 | 太刀川 彩子 | 下末吉台地東端部日吉地区における歴史生態学的研究ー縄文時代前期以降の堆積環境・植生変遷を中心にー |
2023修士 | 畑中 乃咲佳 | 笛になった弥⽣時代の「⼟笛」-下関市⽴考古博物館の体験学習にみる情報の取捨選択- |
卒業論文
<2023年度>
大太 瑛吉 | マルケサス諸島のイレズミと器物・造形物に見られる文様の類似と差異 |
松下 剛 | 東京都内の天神社に見る牛像の歴史と変遷 |
天野 紗樹菜 | 創出される「こだわり」 ~かっぱ橋道具街の店舗と顧客の関係性~ |
⼤江⼾⾻董市における新しい露店空間の創出 | |
静岡市における防災復興戦略~静岡大火を事例として~ | |
文化財/文化資源としての宿場町―東京・埼玉の中山道をフィールドとして― | |
慶應義塾大野球部の服装と行動指針の歴史性 | |
東京都23 区のパブリックアートについて |
<2022年度>
阿蘇谷 智崇 | 東京23区における富士塚の現在と人々との関わり |
岡本 相一 | 東京都千代田区秋葉原地区におけるオタク街の創出 |
松﨑 友利 | フランスにおける雄鶏の表象変遷:monumentから辿る表象の意味合い |
家合 隆輔 | 大地の芸術祭2022における作品の傾向と分析:十日町市十日町地区を事例に |
三重県の「名物餅」の研究 | |
東京西部多摩地域における「鳥山形式」の料理店の消長と歴史的背景 | |
現在の町に創出された馬込文士村の解明 | |
20世紀ニューヨークにおける「プリミティブ・アート」への眼差しの変遷 | |
ウリ像の形態的研究:慶應義塾大学が所蔵する3体のウリ像を出発点として | |
雑誌から見るパワースポット・清正井 |
<2021年度>
畑中 乃咲佳 | 弥生時代における「土笛」の形態分析と地域間比較 |
飯田 晃 | 近世上野国における石造道祖神の成立と展開過程に関する研究-造形と碑形をもとに |
残り、残された仏たち-鹿児島藩の廃仏毀釈から150年を経て- | |
第二次世界大戦関連の慰霊モニュメントから見る「慰霊」の概念と変容 | |
宮古島の湧水と井戸の現状と今を生きる島民との関係 | |
足尾銅山社宅街における生活文化 | |
三輪山を巡る信仰空間の構成 | |
内外から見た白川郷の合掌造り集落 | |
佐倉城址・空間の名残と活用 | |
プカプカ島における初期居住:多様な海洋資源の利用例から | |
南太平洋における日本人による真珠貝産業の展開と日本の貝ボタン産業史 | |
街中の聖母マリア、屋内のサンタ・ムエルテ | |
オークションにおけるシリア関連品から見る紛争地シリアと外部の関係 | |
イギリス・マンチェスター周辺におけるサッカーの普及過程 |
<2020年度>
京墓 歩惟 | アボリジナル・アートの文化資本化―エミリー・ウングワレーを例として |
原田 有里子 | 日本で生きるトンガ王国出身ラグビー選手 |
鶴井 彩央 | 『モアナと伝説の海』からみるポリネシアの文化英雄マウイ |
接触領域としてのケ・ブランリ-展示活動の歴史研究から- | |
日本におけるアーユルヴェーダの受容と実態 | |
造形物から見るソロモン諸島 | |
TMT建設抗議運動から紐解くネイティブ・ハワイアンのアイデンティティの再構築 | |
ニュージーランドのワンガヌイ川に関する研究-テ・アワ・トゥプア法の事例から- | |
多摩川水害の歴史 | |
国立(クニタチ)大学町における郊外住宅地の形成 |
<2019年度>
岩本 夏実 | サンティアゴ巡礼路が生み出す多様な主体の繋がり |
ハワイアンキルトの観光資源化 | |
オセアニアのカヌーの素材と島々の植生 | |
県外移住者の暮らしに沖縄「らしさ」は表出するかー横浜市鶴見区を事例としてー | |
西アフリカ音楽の日本における実践 | |
横浜中華義荘の役割変遷ー華僑が帰郷を待つ地から家族が根付く墓地へー |
<2018年度>
南太平洋港湾都市の表象―フィジー旧首都レブカを事例として― | |
復興運動の中の打瀬船?瀬戸内伝統航海協会による打瀬船復興運動はどのようにはじまったのか? | |
カンボジア、人々の暮らしに根付く仏教信仰-農村部、都市部それぞれの仏教実践の在り方とその特徴 | |
博物館における他者理解と自己理解:国立民族学博物館と国立歴史民俗博物館を比較して | |
八丈島の土地利用においてロベ産業が人々の暮らしへもたらした変化 |
<2017年度>
中島 舞 | 名古屋西区における「屋根神」の変遷-祀られる屋根神と消滅した屋根神- |
大山 実春 | 台湾先住民運動による「伝統」の再評価と観光資源化-台湾タイヤル族の衣服を事例に- |
岩浪 雛子 | 型押小椀からみた江戸時代における紅化粧の普及について(安藤研究会兼ゼミ) |
上保 利樹 | モノから見る場の形成史-狸谷山不動院の「信楽タヌキ」を中心として-(佐藤研究会兼ゼミ) |
堆積・植生変遷からみる自然環境と人間活動の関係史-下末吉台地東端部日吉地区のボーリング調査・分析を中心に | |
日本におけるエスニックフードブーム-ナンプラーに見る異文化受容- | |
江戸鼈甲の変容と継承-「伝統構築」の背景- | |
ソーシャルキャピタルの構築における山車の役割に関する考察-愛知県半田市の山車を事例に- | |
縁結びから見る神社を取り巻く環境の変化-東京大神宮を事例に- | |
都市のみどりが街並みに与える影響-港区5地区の街路樹を対象として- |
<2016年度>
堀 いづみ | フラの「伝統」と「革新」―ハワイ文化復興運動を背景に― |
イースター島における「歴史」の観光資源化 | |
変遷する都市祭礼における「伝統」の考察―大阪府堺市百舌鳥八幡宮月見祭を事例に― | |
「離散」黒人から始まる音楽文化―スカ、ロックステディ、レゲエの歌詞分析を通して― |
<2015年度>
慶應義塾大学所蔵ダガー(短剣)の歴史的位置づけ―アドミラルティ諸島から収集された資料について― | |
写真花嫁がハワイにもたらしたもの―戦前の日系移民統計資料に「アロハ」の創出を読み解く― | |
贈られるモノのチカラ―1960~80年代のバレンタイン・プレゼントを事例に― | |
文化資源としての「昭和」―展示される昭和三〇年代のくらし― | |
明治の合祀政策を生き抜いた神社―埼玉県における中山道周辺の氷川神社を事例に― | |
江戸期以降の北前船「船絵馬」と近現代の「船写真額」にみる継承と変化―瀬戸内海と日本海側の寺社に奉納された事例を中心に― | |
瀬戸内海地域航路の変遷―戦後の尾道市周辺島嶼部を対象に― | |
世田谷区庚申塔の現状と問題―昭和五九年調査報告をたどる― |
<2014年度>
ニューアイルランド島・マランガン像に見る交渉の物質文化研究ー博物館・美術館収蔵資料を中心にしてー | |
見るものから聴くものへ―ディジュリドゥに見る文化の資源化について― | |
日本委任統治期のパラオ・バベルダオブ島における日本人村-時空間の中に読む景観の変化- | |
History of Los Angeles and Palm Trees Representation in Verticality and Horizontality | |
博物館ジオラマ・復元図のジェンダー表現に見る製作現場のせめぎ合い―神奈川県と東京都の資料を中心に― |
<2013年度>
八重山諸島のパナリ焼土器片にみるバリエーションのあり方-混和剤と胎土の分析を通して- | |
大微粒炭の増減から検討する火事の歴史と景観変化における人為的要因-石垣島名蔵地区浦田原谷戸内のボーリング調査資料を対象として- | |
“桜の名所”の形成史-王子「飛鳥山公園」の表象と利用にみるズレを通して- | |
阪神淡路大震災からの復興過程にみる記憶とモノの関わり-新しい地蔵と古い地蔵- |
<2012年度>
メラネシアにおけるカプカプの地域差 | |
”沈む国”表象の形成 ―日本メディアにおけるツバル表象とツバル人の語りとの比較から― | |
市民団体による「まちをつくる」歴史実践の変遷考察 ―景観を活かした栃木市「蔵の街」の取組みを事例として― | |
現在吉原像の形成-文化としての「道中」の参照- | |
博物館所蔵のワヤン・クリ人形から見るその形質の異同と時期的特徴の考察 | |
石造物の分布から見る高尾山の意味付けの変遷 | |
都市開発による全面的造成とモノの移動 ―多摩ニュータウン・八王子市南大沢の景観の変遷を事例に― | |
ジオパーク推進の歴史的経緯とその運営の多様なあり方 | |
近代イギリス風景画からみる人々の求めた景観 |
<2011年度>
旧独領ニューギニアにおける民具収集の現場―慶應義塾大学所蔵小嶺コレクションの分析に向けて― | |
メキシコの仮面における「悪魔」の表現の多様性についての検討 | |
完新世以降における浜名湖周辺地域の環境変遷と人間活動の関係史-律令期を中心にして- | |
銀座と街路樹の変遷史 | |
横浜案内図に描かれた19世紀後半の横浜 | |
琵琶湖周辺の城郭―分布と立地― |
<2010年度>
明治期から大正期における「冒険者」の活躍の歴史から見る日本の南洋群島進出の研究 | |
「失われた大陸」言説の変遷~疑似科学的言説の系譜関係を中心に~ | |
ラベルデザインに見る泡盛産業の背景 | |
鯰絵は復興生活を反映するか | |
マッチラベルに見る喫茶店形態の変遷―昭和初期・1950~80年代東京を対象として― |
<2009年度>
マジュロ環礁における地形発達と初期人間居住の関係 | |
鳥取砂丘と人間の関係史 | |
「剣術」の「道」化~教員・流派・形の観点から~ | |
描かれる近江八景 |
<2008年度>
伊勢野 まどか | 世間話にみる江戸の場所イメージ―18世紀末~19世紀初頭に集成された『耳嚢』を事例にして― |
<2007年度>
手塚 宏樹 | 「葛生原人」から「葛生の原人」へ―絡み合う慣習と非慣習の歴史的諸相― |
オセアニア地床炉に関する民族誌と考古学的情報の集成―「高い島」と「低い島」の比較のために― | |
変わりゆく祭礼の歴史研究―三重県桑名市の石取祭を事例にして― | |
明治期書物の近代化―出版社をケーススタディとして |
<2006年度>
甲斐 祐介 | マーシャル諸島マジュロ環礁のピット耕地をめぐる「荒廃」の歴史 |
大川 優香 | 「アグー」の創出と利用―「琉球在来豚」形成の歴史人類学的考察― |
江戸時代の酒燗器「ちろり」の具体的実像と使用風景の研究 | |
Chiribaya集団によるラクダ科家畜飼養―Tiwanaku集団との関わりから― | |
三田キャンパス移転後の建物の変遷 | |
漁村から見た内房総中部沿岸地域の変遷 | |
生活史から見た里山における竹林管理の評価―小机城址市民の森を事例に― |
<2005年度>
岩城 玲央奈 | 祭祀にみる祭祀植物の意味―沖縄県久高島の事例を通して― |
秋田 麻衣 | 創出される都市祭礼―小山両社祭にみる慣習と非慣習の絡み合い― |
新井 ルミ子 | 中央アフリカ・マラウイに見られる生活空間の性差―チェンベ村の事例から― |
大貫 路子 | 大國魂神社例大祭暗闇祭の変遷―神輿・太鼓講中から読み解く暗闇祭の歴史― |
妙見宮大祭神幸行列の変化に見る八代の歴史 | |
ゴーヤチャンプルーから考察する沖縄食文化の変遷と異文化交流 |
<2004年度>
ノニをめぐる南太平洋の伝統と近代 | |
中央アンデス地域南部における高度差利用の多様性―プレインカ期の遺跡解釈にむけて― | |
明治から昭和にかけての「婦人画報」における化粧品広告の変遷について | |
武蔵野市の都市化と市民運動 |